本の紹介:話を聞きたがらない夫、悩みを聞いてほしい妻
監修:岡田尊司(精神科医)
漫画:原わた
作画:伊東フミ
目次
1 ふたりとも、私のことがきらいなの?
2 生きづらさの原因は子ども時代にあり?
3 悩みを言いたがる妻と、聞きたがらない夫
4 どうして共感してくれないの?
5 家族の問題、どうやって話し合う?
6 生きづらい3人のお母さん
7 心の「安全基地」をつくろう
8 私と相手は違う思考回路をもっている
9 家族みんなが生きやすくなるために
子どもの頃に形成された「愛着スタイル」の違いによって、人はそれぞれ感じ方や言動や行動が違ってくる。
そしてその「愛着スタイル」の違いを理解していないと、「なぜ分かってくれないの?」の負の感情が芽生え、やがてそれがすれ違いを生み出し、離別に繋がってしまう。
本書は夫婦関係を軸に書かれているが、もちろんそれ以外の全ての人間関係に当てはまると思います。
ただ漠然と「人は皆それぞれ違いがあるから尊重しよう」と思うよりも、理論的に「愛着スタイルの違い」を知る事で、かなり心の負担は減るのでは、と感じます。
そうした理解から「人との違いを知る」と言う事が更に腑に落ちて無理なく本心から「人を尊重する」事の意味を実感できるのでは、と思います。
本書ではいくつかの愛着スタイルを紹介しています。
<不安型愛着スタイル>の傾向
・「人に受け入れられているか」がとても気になる
・相手の表情の変化に敏感で、顔色をうかがう傾向がある
・拒絶に敏感で、見捨てられてしまうかもという不安が強い
・親しい関係になるほど、もたれかかったり、攻撃的な言動に出てしまったりする
・不満や不安などを口に出してしまいがち
<回避型愛着スタイル>の傾向
・ドライでクール。本気で熱くなることはめったにない
・距離をおいた対人関係が好き
・縛られないことが大事。依存されるのはイヤ
・わずらわしく面倒なことは、なるべく避ける
・相手の気持ちに無関心で、鈍感なところも
更に、「回避型」のサブタイプ
<恐れ・回避型>の傾向
・誰にも気持ちを許せないいっぽう、他人の反応に無頓着ではおれず、顔色が気になってしまう
・人とかかわるとイヤな思いをするのではと不安が生まれ、親密になれない
・人と距離をとることで、バランスを取ろうとする
<未解決とらわれ型>の傾向
・ちょっとしたことで気分が変わってしまう情緒不安定さがある
・自己破壊的な行動がある
・なにかと傷つきやすく、過剰反応してしまう
・孤独には耐えられず、依存できる人をつねに求めている
以上のように、人はそれぞれどんな幼少期を過ごしたかによって当然の事ながら大人になってからもその違いは出てくる。
相手の事を知る上でも、自分の事を知る上でも、そのルーツを紐解いて理解する事は自分の心の安定にも繋がります。
日常生活で「どうしてこんな風になってしまうの?」と思う事が多い場合は本書のような内容の物は心と感情を整理するのに役立つと感じます。
個人的にも、監修の岡田尊司先生の他の著書も各パーソナリティーについて分かりやすく書かれておりオススメです。他の著書についてもまたご紹介いたしますね。