人との距離感と敬意

以前の私は人との心理的距離がとても近かったと思います。

相手の事も自分の事のように思ってしまう、という距離です。

なので、頼まれてもいないのに相手のスペースに立ち入ったり、余計なお世話を焼いたり、相手の問題なのに私が勝手に頭を悩ませて辛くなっていたり、私の価値観を押し付けようとしたり…

思い返すとたくさん出てくるのですが、私の場合は「自分と相手との間に境界線が無い」事に問題がありました。(もちろん当時の私にはその自覚は無い訳ですが)

相手との境界線の無いやり取りを「相手に対する親切や思いやり」のように思っていたのです。

だから、相手の問題なのに相手以上に辛く苦しくなったり、自分の気持ちが伝わらないと怒りの気持ちが芽生えたり、感情の幅が大きかったのです。

私の場合は

・共依存症ぎみ

・自己肯定感が低い

こんな事が原因でした。

相手に対して何でもかんでも親身になり過ぎて結局自分の方が辛いという…

「人との間に境界線を作るなんて、なんて冷たいのだろう」とも思っていました。

人との境界線を作るには相手を「一人の人として認識する」訳ですが、そこで「相手に対する尊重や敬意」が必要になってくるのです。

それから、「物事を正しい・正しくない、で判断しない事」も必要でした。

少しずつ気付き出した私は、「まずは相手がどうしたいのか、どう思っているのか」を優先して話を聞くようになりました。

もちろんその時に「私だったらこうするけどな」という気持ちがあっても、それは「私の気持ち」であって「相手の気持ちではない」のですよね。

「良かれと思って」や「あなたの為に」は境界線を越えたお節介な行動でしかないのです。

そしてそこに、相手を尊重したり敬意を持ったり、という事が欠けているのです。

「あなたはどうしたいの?」を念頭においていつもいつも意識して人と接しているうちに自然と「人との距離感」が取れるようになってきました。

と同時に「これが相手に対する敬意」なんだなぁ、という事も実感出来るようになりました。

程よい距離感を保つには「相手に対する敬意」が必要なのです。

逆に「人に対する敬意」がある人は程よい距離感を保てます。

ですから、この「人に対する距離感」と「人に対する敬意」は同時に必要なのです。

でも「敬意」は普遍的であったとしても「距離感」は同じ相手であってもその場その場で変化していきますよね。

相手の考えだって逐一変化していく訳ですから、こちらの距離感も変化して対応した方が良い関係が築ける。

そのためにはよくよく相手の話を聞き、観察して「その人が何を考えているか」見極めていく必要があります。

「人に対して不満や怒りが多くある」と感じている人は距離感が必要以上に近いのです。

相手に対してたくさんの不満や怒りが出た時は意識して大きく距離感を取ってみてください。

もうその人の事はほったらかしにして、もうどうでもいいや、と頭の中から追い出すくらいに。

程よい距離感は意識しないと取れるようにはなっていきません。

程よい距離感が保てるようになると何より自分自身がとても楽です。

感情の幅も狭くなり、穏やかな状態でいられる時間が増えていきます。

相手に対してネガティブな感情ばかり感じてしまう人は、この「程よい距離感」をぜひ意識してみてくださいね。

自分自身で調節可能な事柄ですから、距離感を意識して、穏やかな時間を増やしていきましょう。